増 上 寺 会 館 3 階 【 菊 の 間 】



この部屋の中に祀られるもの達は、特定の宗教の偶像でも、特定の人種・地域のためのものでも無い。
私達の生きるこの時代に生まれ、ジャンルや地域を越境し、なお力強く存在し得る表現の産物。 そこには21世紀を文化の世紀として導き得る可能性と知的好奇心と、人間の根源的欲求による創意工夫が散りばめられている。 ここに今一度、人間が何かを想って象ったものを「祀る」と言う行為を通じて、様々に感じる心象をもって、理論や用途を超えた体験を得ることが一つの目的である。

[作品展示・販売]


【出展作家】 かのう たかお / 田村 一 / 金 理有 / 松本 治幸 / 山田 浩之 ★全て激陶者集団「へうげ十作」

[日 程] 4月17日(金)-19日(日)
[時 間] 午前11時-午後7時(最終日は午後6時まで)
[会 場] 「増上寺会館」三階「菊の間」


(写真左/金理有 右/かのうたかお)

【出展作家・協力関係】

かのう たかお (陶芸 / 京都)
田村 一 (陶芸 / 秋田)
金 理有 (陶芸 / 大阪)
松本 治幸 (陶芸 / 滋賀)
山田 浩之 (陶芸 / 滋賀)

【企画趣意】

古代、洋の東西を問わず偶像(idol, icon)は土地の宗教・風習・歴史・生活と密接に関連し合い、信仰や崇拝の対象として存在してきた。 西洋のいわゆるアートの現代化、純粋化に伴いそれらは次第に宗教性から離れて自立する物質(object=オブジェ)として扱われるようになったが、それが故に人間の生活 から切り離されてしまったとも言えよう。 日本においては「用の美」と言う言葉が指し示す様に、道具として用いるものに対する美的価値観が発達。本来なら床の間に飾られたり、神棚に祀られたり、神社仏閣に奉 納されたであろうかつての偶像的存在は、今ではやはり西洋にならって用を為さず扱いの難しいものとして、隅へ追いやられている感が強い。
今ここで天祭を開催する増上寺には、全国各地からジャンルを超えて集まる様々なものづくり作家により、多数の作品が持ち寄られる。
中でも最も数の多い陶芸作家を見ても、その多くは器や道具の出品者であり、いわゆるオブジェを出す者は決して多く無い。
他方、漫画『へうげもの』(講談社・山田芳裕)からスピンオフして躍進する激陶者集団「へうげ十作」の面々においてはどうだろう。
・・・金理有(大阪)、かのうたかお(京都)、松本治幸(滋賀)、田村一(秋田)、山田浩之(滋賀)
これらそうそうたる顔ぶれに共通するのは、かたや茶道具はじめ日用の器を制作して評価を得る一方、片足を美術(アート)と呼ばれる領域に立たせ、「用を為さない」オブジェの制作にも余念が無い。
彼らの表現する世界観を理解する際、器や道具を見ただけでは片方の側からしか見ていないことになり、その神髄はむしろオブジェにこそ現れていると感じることは決して否めない。
奇しくも『へうげもの』の世界観に共鳴し、各地からしばしば参集する彼らの制作の神髄を、今までの天祭開催ではなかなか紹介することは出来なかった。
しかしここにあえてお馴染みの「へうげ十作出展室」(増上寺会館3階・中広間)とは別に、「祀りの間」(同・菊の間)を設けることによって、彼らの表現の根幹を成す部分を見せる事に注力したいと考える。
「祀り」は「祭」とも「奉り」とも関わりが深い。
徳川の菩提寺であり、今では広く一般に開かれ、日本の文化を様々に発信する拠点ともなった大本山 増上寺において、彼らの「オブジェ」が本当の意味を取り戻す事の意 義は決して少なくは無いだろう。
八百万の神の国であり、仏教国であり、クリスマスやハロウィンを楽しみながらイスラムに思いを馳せる国、日本。 この部屋の中に祀られるもの達は、特定の宗教の偶像でも、特定の人種・地域のためのものでも無い。 私達の生きるこの時代に生まれ、ジャンルや地域を越境し、なお力強く存在し得る表現の産物。 そこには21世紀を文化の世紀として導き得る可能性と知的好奇心と、人間の根源的欲求による創意工夫が散りばめられている。 ここに今一度、人間が何かを想って象ったものを「祀る」と言う行為を通じて、様々に感じる心象をもって、理論や用途を超えた体験を得ることが一つの目的である。

【feat.】

かのう たかお KANO Takao

(1974〜)
京都府京都市生まれ、在住。京焼の名門の御曹司。
青年海外協力隊員としてアフリカのニジェールで作陶指導を経験。
乾いた大地に触発され、やきものの原点に迫る斬新なオブジェを次々と生み出す。
近年はうつわにも原点回帰。
古今東西、アートと実用の架け橋として爆走中。
スキンヘッド、ドレッド髭、テンガロンハット、ウエスタンブーツがトレードマーク。
今回は「野獣派」の首魁としても君臨予定。
https://www.facebook.com/takao.kano.5


田村 一 TAMURA Hajime

【略歴】
1973 秋田県生まれ
2000 早稲田大学大学院修了後、東京で作家活動を開始
2002 栃木県芳賀郡益子町に移り制作
2011 秋田県に戻り、現在に至る
【主な個展】
ギャラリー無垢里 / 東京(2004〜)
ココラボラトリー / 秋田(2008〜)
graf / 大阪(2008, 11)
うつわクウ / 兵庫(2009, 11)
PLAIN PEOPLE / 東京(2010, 12, 14)
TKGセラミックス / 京都(2012)
2009〜 漫画『へうげもの』(講談社・山田芳裕)のスピンオフ「へうげ十作」に参加
2010〜 若手陶芸家の組織「イケヤン☆」のメンバーに参加
2013〜 「天祭 一〇八」〜現代ものづくり縁起 in 増上寺〜(東京)に参加
2015 Task Qとの二人展「形状記憶」(白白庵 / 東京)


金 理有 KIM Riyoo

(1980〜)
大阪府大阪市生まれ。同羽曳野市在住。
金属器を思わせるメタリックな風貌。
眼光炯々たる異相。未知の世界を連想させる恐怖。
強靭な突破力で現代アートを侵略中。
『へうげもの』を通じて茶陶に開眼。若手茶人との共闘により、入魂の「今焼」を続々制作。
「縄文」文化にも傾倒し、ニューヨークでの展覧会をキュレーション。
ノンストップな躍動、開拓、交歓、痛飲により、自ら世界に深く爪をかけつつある。
http://www.riyookim.com


松本 治幸 MATSUMOTO Haruyuki

(1985〜)
鳥取県米子市生まれ。滋賀県甲賀市在住。
韓国留学において「日本」の焼き物のルーツ、磁器の変遷などを学んだとされている。
炭化した樹木、樹木と見紛うばかりの樹木など、豪快なオブジェを放つかたわら、紙のごとき世界最薄最軽量食器で怪気炎。
謎めいた作家性、縄文系の濃ゆい風貌は斯界のヒストリーチャンネル。
昨年、信楽陶芸の森での個展DMで入籍を発表。新婚な発想が関係者に波紋を広げた。
https://www.facebook.com/haruyuki.matsumoto.1


山田 浩之 YAMADA Hiroyuki

【略歴】
1970 兵庫県篠山市生まれ
1992 岡山大学卒業
1993 丹波立杭焼窯元で修業
1994 滋賀県立陶芸の森の研修作家として作陶
2013 同年より信楽焼窯元にて就職
1996 信楽町黄瀬にて独立
2001 信楽町宮町に工房を移転
2001〜2002 IW.Conch(アメリカF.L)に参加
2002 陶芸の森にて大壷製作
2004, 2005 韓国Yeojuにてワークショップ
2005 The Museum of Fine Arts, Houstonにてワークショップ、特別展覧会
2008 「信楽ACT 2008〜あるく、のぞく、みつける〜」主宰、出展
2013 中国、長春吉林芸術学院にて夏季集中講義を行う
2009 「信楽ACT 2009〜ツチツナギ〜」主宰
2010 「信楽ACT 2010〜バランス・アンバランス〜」主宰、出展
2012 「信楽ACT 2012」主宰、出展
2014 第二回、第三回「天祭 一〇八」(増上寺 / 東京)
2013 MITSUKOSHI DESIGN WEEK / 古田織部没後四〇〇忌「その方も乙よのう」(日本橋三越本店)
2015 乙な新年会「ほんま、へうげたお人やわぁ?☆」(FUNATSURU / 京都)
2013 「えんぎもの」(白白庵 / 東京)
2013 「信楽からの便り」(FUNATSURU / 京都)
2013 「わんげる。」(麻布十番ギャラリー / 東京)
http://miyamachihouse.com/y_index.html