「 天 祭 一 〇 八 」 発 足 趣 意



「日本」の美術工芸及びものづくり文化は、列島津々浦々の土着信仰や習俗に由来し、古きものを伝承するとともに、一方では海を越えて伝わる新しいものを取り入れ「ハイブリッド・カルチャー」として唯一無二の進化を遂げてきた。その独自の文化形成の過程において、ものづくりや表現の守護者として多大な存在意義を発揮してきたのが寺社仏閣である。

二十一世紀の日本において、宗教と美術工芸・芸能文化は切り離され、それぞれに自立すべきものと考えられているが、私達の欲する真に「豊か」な生活とは、はたして欧米的な効率・機能重視の発想やシステムで割り切れるのだろうか。「日本文化」への再評価と世界に向けての力強いアピールが叫ばれる中、自国の本当の文化と歴史に今一度目を向け、未来永劫に「日本」の美術工芸・芸能文化を発展させんがため、「然るべき場所」へと集うよう呼びかけたい。



※増上寺「光摂殿」(左手前)